1歳を過ぎたミニチュアダックスのここあちゃん。何か気になると吠えまくってしまい、飼い主さんは本当に困っていました。一度吠えるスイッチが入ってしまうと刺激のない場所まで移動するしか方法がありませんでした。そこで発想の転換をしてみるようにしました。吠えることを叱るのではなく、吠えないこと、吠えていないことを褒めるんです。 |犬が吠えるのをやめさせる意外な方法

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犬が吠えるのをやめさせる意外な方法

公開日:2025.07.12

犬が吠えるのをやめさせる意外な方法

1歳を過ぎたミニチュアダックスのここあちゃん。怖がりで警戒心が強く、何か気になると吠えまくってしまい、飼い主さんは本当に困っていました。特に散歩では、すれ違う人、犬、自転車、バイクなどに、その都度反応して吠えてしまいます。

一度吠えるスイッチが入ってしまうと、叱っても、おやつを見せても全く効果がなく、刺激のない場所まで移動するしか方法がありませんでした。今回は、そんなここあちゃんのトレーニングによる変化についてお話しします。

散歩が苦痛になっていた飼い主さん

ここあちゃんの飼い主さんは、散歩中の吠えに本当に困っていました。人でも犬でも、すれ違うたびにものすごい勢いで吠えてしまい、近所迷惑になるのではないかと心配で、散歩に出るのが憂鬱になっていたそうです。

「また吠えるのではないか」「周りの人に迷惑をかけてしまう」「恥ずかしい」

そんな気持ちで散歩に出ると、案の定ここあちゃんは吠えてしまう。飼い主さんは焦って「ダメ!!」「うるさい!!」と大きな声で叱る。でも、一向に改善する兆しがない。この悪循環が続いて、飼い主さんは本当にほとほと困ってしまい、しっかりと向き合いたいと5回コースのレッスンを申し込まれました。

「叱る」対応の落とし穴

多くの飼い主さんが、犬が吠えると「ダメ!」「うるさい!」と叱ります。これは人間の感覚では当然の反応です。でも、犬の立場から考えてみると、実は逆効果になってしまうことが多いんです。犬は飼い主さんが怒っていること、叱っていることは分かっています。でも、「なぜ怒られているのか?」が分からないのです。

犬からすると、
・「他の犬や人が来たから警戒して吠えた」
・「でも飼い主さんが怒っている」
・「ということは、吠え方が足りないのかも?」
・「吠え方にダメ出しをされているのかも?」
と勘違いしてしまうのです。

つまり、飼い主さんが「吠えるのをやめて」と言っているつもりでも、犬には「もっと頑張って吠えなさい」と伝わってしまうことがあるのです。そのため、叱っても吠え止むどころか、以前よりももっと激しく吠えるようになってしまいます。飼い主さんは「全然効果がない」「むしろ悪化している」と感じることになります。

発想の転換をしてみる

初回のレッスンで、私は次のように飼い主さんにお願いしました。それは「吠えることを叱るのをやめて、吠えないこと、吠えていないことをとにかく褒めてください」

具体的には、
・他の犬や人が見えても吠えずにいられたら褒める
・「いい子だね」「偉いね」等、穏やかに褒める
・吠えてしまった時は叱らず、落ち着いたらすぐに褒める

実践したのはたったこれだけでしたが、初回のレッスンで、いつもの散歩よりも吠える量、頻度が明らかに減りました。飼い主さんは「本当に効果があるんですね!」と驚いていました。

散歩中でも吠えない犬

3回目のレッスンで見えた劇的な変化

そして先日の3回目のレッスンでは、ほぼ吠えることなくお散歩することができました。5回コースのまだ前半にも関わらず、これほどの変化が現れたのです。他の犬や人とすれ違っても、ここあちゃんは落ち着いて歩いています。時々、興味深そうに相手を見ることはあっても、吠えることはほとんどありませんでした。

また、これまでなら100%吠えていた「工事の誘導員」の人にも吠えることなく通り過ぎることができました。これには飼い主さんもびっくり!このように確実に吠えることが減ったため、飼い主さんの表情も、最初のレッスンの時とは全く違っていました。

・「こんなに早く変化が見られるなんて思わなかった」
・「残りのレッスンで、もっと安定させたい」
・「散歩が楽になりました」

飼い主さんのこの言葉が、何よりも嬉しかったです。残り2回のレッスンでは、さらに定着を図り、様々な状況でも落ち着いて歩けるよう、応用練習を進めていく予定です。

なぜ「褒める」ことが効果的なのか

ここあちゃんが吠える原因は「怖がり」だからでした。他の犬や人とすれ違う時、「怖い」という感情から身を守ろうとして吠えていたのです。ですから、このような問題を改善するためには、「吠えないことを教える」よりも「怖くない」と教えることの方が大切なのです。

褒めることで「すれ違う人や犬」は怖がるほどのものではないということを教えられます。飼い主さんが穏やかに褒める楽しい雰囲気によって、犬は「なーんだ、怖いことは何もないんだ」と覚えることができるのです。褒めることで「怖い」という感情そのものを軽減できます。怖いという感情がなくなれば、そもそも吠える行動をする必要がなくなります。

これこそが根本的な解決に結びつく理由です。叱ることで一時的に吠えを止めることはできても、「怖い」という感情は残ったままです。一方、「吠えないこと」を褒めることで、犬は自分から「吠えない選択」をするようになり、さらには怖がる必要もないと学習していくのです。

「飼い主が変われば、愛犬も変わる」

このここあちゃんのケースは、まさに、私がしつけのモットーとしている「飼い主が変われば、愛犬も変わる」の典型例です。飼い主さんの対応を変えることで、犬の行動が劇的に改善されました。問題行動の原因は犬にあるのではなく、私たち飼い主の接し方にあるのです。

もし今、散歩中の吠えで困っている方がいらっしゃったら、一度「叱る」ことをやめて、「吠えない瞬間」を見つけて褒めてみてください。きっと、思った以上に早く変化を感じられるはずです。犬との関係は、私たち飼い主の意識と行動次第で、いくらでも良くしていけるのです。

ドッグベースキャンプ
トレーナー 小川亜紀子


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