子犬のお散歩デビューまで、どう過ごす?
保護犬で3ヶ月になる雑種の蘭丸君。飼い主さんのもとに来て1ヶ月弱。ご家族との生活にも慣れ、すくすく育ってくれているのですが問題も増えてきました。
それは、家族への(激しい)甘噛みと家の中のイタズラ。
ワクチンプログラムと「魔の数週間」
多くの子犬は、1回目のワクチンをブリーダーさんや保護団体で済ませ、飼い主さんのもとへやってきます。その後、2回目、3回目のワクチン接種を経て、ようやくお散歩デビューできるわけですが……
実はこの2回目から3回目のワクチンまでの期間が、飼い主さんにとっての“試練の時期”になりやすいのです。
蘭丸君は保護犬なので、犬種が確定していないですが、見る限り中型犬以上にはなる体格。そのため、成長とともにエネルギーが増して、明らかに運動が足りていない様子でした。とはいえ、まだ3回目のワクチンが終了していないため、散歩に連れだすことが出来ず、飼い主さんは困っていました。
実はこの問題、蘭丸君に限らず、エネルギッシュな子犬では「あるある」の問題なのです。成長とともに子犬の行動が激しくなったり、甘噛みやイタズラが増えたりして、「どうしてよいか分からない」と悩む方がとても多いんです。
成長しているのに発散できなくて大暴れ
この時期の子犬は、体がぐんぐん成長し、運動能力も高まっていきます。それに比例して、エネルギーもどんどん溜まっていきます。でも、外に出てお散歩で発散させることはまだできません。
室内での遊びやおもちゃ遊びでは、なかなか発散しきれず、
「ちょっと遊んだくらいじゃ満足してくれない!」
「ソファをガジガジ噛んで困る」
「足や手に飛びついて甘噛みがひどくなってきた」
といったお悩みが爆発的に増えるのが、ちょうどこの時期なのです。まるで人間の「魔の3歳児」のように、「子犬の“魔の数週間”」と言ってもいいかもしれません。
「なんで急にこんなに手がかかるの!?」と不安になるかもしれませんが、この期間は、子犬が心も体も成長している証拠でもあります。子犬は好奇心旺盛で、やってみたいことが次々と増えます。本当はお散歩デビューして、外の世界で五感を刺激しながらエネルギーを発散したいところですが、それができないので室内で大暴れ。このエネルギーの持って行き場がない状態が、甘噛みやイタズラに繋がってしまうのです。
散歩デビューで一気に解決!
でも安心してください。3回目のワクチンが終わって、お散歩に行けるようになると、
「外を歩く」
「地面の匂いを嗅ぐ」
「他の犬や人とすれ違う」
といった刺激や運動によって、溜まっていたエネルギーが上手に発散できるようになります。
もちろん甘噛み自体にはトレーニングも必要ですが、運動不足による興奮はぐっと収まります。それまで悩んでいた甘噛みやイタズラも、お散歩デビューをきっかけに一気に落ち着くケースが非常に多いです。蘭丸君もお散歩に出るようになり、格段に落ち着きが増しました。
今できる工夫で乗り越える
とはいえ、「ワクチンが終わるまで待てない!」というケースもあると思います。その場合は、室内でもエネルギーを発散できる工夫を取り入れて、この時期を乗り切りましょう。
例えばこんな工夫がおすすめです。
・知育玩具やコングを活用して、頭を使う遊びを増やす
・宝探しゲームやトリックの練習で、室内でも脳トレ
・引っ張りっこ遊びをたくさんして疲れさせる
・ちょっとした「おすわり・ふせ・待て」の練習で、エネルギーを頭と体に分散
・短時間でも抱っこ散歩で外の世界を見せて、気分転換
・トンネルやクッション山など、簡単な室内アスレチックで体を動かす
この時期をどう過ごすかで、その後の落ち着きや飼い主さんとの関係作りにも影響します。ぜひ「お散歩デビューまでの成長期間」と前向きに捉えて、子犬と一緒に楽しんでください。
ドッグベースキャンプ
トレーナー 小川亜紀子