保護犬の3歳になるトイプードルももちゃん。散歩に出ても積極的に歩こうとせずスムーズな散歩が難しい状況で、明らかに外の環境に慣れていないようでした。また前足の肉球が削れており、アスファルトを歩くと足が痛い可能性があることもわかりました。そこで「散歩は歩くことだけではない」という考え方を取り入れていただくことにしました。 |犬の散歩は歩くことだけではない?!

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犬の散歩は歩くことだけではない?!

公開日:2025.01.19

犬の散歩は歩くだけではない

保護犬の3歳になるトイプードル、ももちゃん。人を恐れる様子はなく、性格はとても穏やかで、何かをされても怒ることがない、とてもお利口な子です。

犬なのになぜ歩きたがらない?

ただ、散歩に出ても積極的に歩こうとせず、すぐ抱っこをせがんでしまい、スムーズな散歩が難しい状況でした。

実際の散歩の様子を拝見すると、家を出て数歩歩くとすぐに飼い主さんに「抱っこして」と飛びつき、それを無視して歩かせようとしても動かないという状態でした。少し時間を置くと仕方なく歩き出しますが、また数歩進むと抱っこを求めて飛びつく、これを繰り返していました。

最終的には飼い主さんが折れて、ほとんど抱っこで散歩しているとのことでした。

飼い主さんは「犬なのに散歩で歩きたがらないなんて……。他のワンちゃんたちはてくてく歩いているのに」と悩んでおられました。

散歩の様子から、ももちゃんは明らかに外の環境に慣れていないようでした。さらに詳しくお話を伺ったところ、前足の肉球が削れており、アスファルトを歩くと足が痛い可能性があることもわかりました。

そのため、まず「止まらずに歩く」ことを目標にするのではなく、「外の環境に慣れる」ことを優先することにしました。また、ももちゃんは小型犬で抱っこが負担になるわけではないため、「散歩中はすべて抱っこでもOK」という考え方を取り入れていただくことにしました。

抱っこの散歩もあるの!

実は、この「抱っこでの散歩もあり」という考えを受け入れられる飼い主さんは意外と少ないのです。
・「犬は散歩が好きなもの」
・「散歩嫌いな犬はおかしい」
・「抱っこでの散歩なんて散歩とは言えない」
・「他の犬はちゃんと歩いているのに、うちの犬はダメだ」
と思い込んでいる方が多いのですが、実際にはそんなことはありません。

犬の性格やこれまでの経験によって、散歩が苦手な犬もいます。抱っこでの散歩であっても、気分転換になり外に出ること自体に意味があります。

また、「歩かないこと」がしつけとして「ダメ」というわけではありません。ももちゃんのように過去の経験や身体的な事情によって歩けないケースもあるのです。

良く観察してみると

散歩で愛犬が歩かない場合、「なぜ歩かないのか?」を注意深く観察することが重要です。もし上記のような理由が当てはまる場合は、無理に歩かせる必要はありません。

ももちゃんの場合、自宅近くだと「早く帰りたい」という気持ちから全く歩こうとせず、逆に散歩の後半、家の近くになると「帰りたい一心」でてくてく歩くことがわかりました。そこで、まず家からある程度離れた場所までは抱っこで移動し、帰り道を歩かせる方法を試していただくことにしました。

また、飼い主さんには以下の2つのポイントを実践していただきました。

1. 調子よく歩いている状態を積極的に褒める
2. 歩いている途中で急に抱っこをせがんできても、抱っこしない

1つ目は、歩くこと自体をポジティブな体験としてももちゃんに学習させるためです。2つ目は、「抱っこして」とせがめばいつでも抱っこしてもらえる、とももちゃんが学習しないようにするためです。抱っこを求めてきた場合は、飼い主さんがももちゃんの前に出て呼び寄せる形で歩くようにしていただきました。

愛犬に適した散歩スタイル

愛犬に適したスタイルを見つける

こうしたスタイルを取り入れた結果、飼い主さんは「無理に歩かせなくても良い」と考えられるようになり、気持ちが軽くなりました。その影響か、ももちゃんが抱っこをせがむ頻度も減り、歩ける距離も徐々に伸びていきました。

当初、飼い主さんは
・「散歩で歩かないのはダメなこと」
・「他のワンちゃんたちは歩いているのに、ももはなぜ歩かないのか……」
と悩み、
「他の犬のように止まらずスムーズに散歩ができるように」と考えていました。しかし、ももちゃんは社会化不足だけでなく、肉球の問題も抱えているため、全行程を歩かせるのは難しい場合もあります。

このように愛犬の事情を考慮し、それぞれの犬に適した目標を立てることが大切です。

ももちゃんの場合、最近普及している犬用のカートやキャリーバッグ等を活用しながら、歩きやすい場所や歩きたい場所で少しずつ歩けることを目指せば十分だと感じます。

今回のレッスンを通して、ももちゃんの飼い主さんは考え方を大きく変え、散歩に関する悩みを解消されました。「散歩嫌いな犬もいる」「抱っこやカートでの散歩もあり」ということを飼い主さんにも知っていただけたと思います。

もし愛犬が散歩をあまり好まないようであれば、
・「わがままなのか?」
・「外が怖いのか?」
・「身体的事情で歩きにくいのか?」
を見極めましょう。

そのうえで、愛犬に合った散歩量、散歩スタイルを考えてあげてください。

ドッグベースキャンプ
トレーナー 小川亜紀子


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